手沢の家
長野県の北信地域の高山村にあるワイン醸造家のための住宅の新築計画である。
計画地にはワインの醸造棟・倉庫・母家が、計画地西側に面してワイン葡萄畑・北側に田んぼがあり、生活と生業が連続した場所である。
住まい手は生業であるワイン葡萄の栽培、ワインの醸造はもちろん、人の手を加え、自然と共存する丁寧な暮らしを営んでいる。また、古道具や古材を愛で、時間が作り出すものに魅力を感じている。
そこで、建築物自体も人の手、時間によって変化する建築を目指すことで、建主の生活に寄り添い、その土地に息づく、おおらかな空間を目指した。
そこで、我々は建築物の中心に、製材をしない自然乾燥の地域材である丸太を構造材として活用することを提案。製材をせず、樹皮も高圧洗浄で剥離する程度の加工で留めた丸太材は、構造材ではあるが、樹木の自然でしか生み出せない大らかさを生み出している。
畑、道具、建物が住まい手、時間と共に変化する余白を残すよう計画。
自然の風雨や光、人の手によって変化していく建築物は畑や田んぼのように耕され、住まい手と共存していくことを期待しています。